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2010年5月28日 (金)

本【あやし/宮部みゆき】

あやし/宮部みゆき

時代物怪談短編集。
いいぞいいぞ!変な長い小説理由のレビュー参照)より断然良いぞ!
(長くても良いのはいっぱいあるけどね)

居眠り心中
影牢
布団部屋
梅の雨降る
安達家の鬼
女の首
時雨鬼
灰神楽
蜆塚


9編収録。

「布団部屋」は、新潮文庫の『七つの怖い扉』に収録されていたので読んだ事がありました。
あと「居眠り心中」の冒頭、問屋の主人が趣味で染めた手拭いを配った話はどっかで見たことがあるんだけど……思い出せない。
お話全体を読んだ事がある訳ではないので、どこかで手拭い心中の件だけ読んだんだと思うんだけどなぁ……。モヤモヤ。

全体的にさらりと読めてじわりと怖い。
不思議な事柄への怖さあり、人間の怖さあり、優しさも含まれる。

トイレに行けないタイプの怖さじゃなくて、しっとりと背後に感じる怖さ。

「梅の雨降る」と「安達家の鬼」がお気に入り。
次いで「居眠り心中」「影牢」「布団部屋」「女の首」……どれも面白かった。

いくつかあらすじと感想を。

「梅の雨降る」
あることをきっかけに床に伏せっていた姉の死を知らされる。
彼女が梅の木に掛けてしまった願いとは……。

人を呪わば穴二つ、的な。
誰にでもあるであろう感情が元になっているので、恐ろしくも悲しい。

「安達家の鬼」
女中上がりで嫁いだ安達家の義母は人を見る目が鋭く、
商いでも義母が認めなければ進めないという。
他の人の話によると義母の部屋には、目に見えない何かが居るようだ。

タイトルでわかると思うのでネタバレすると、

義母の傍には「鬼」が居て、それは鏡のように自分の心を映した姿で現れる。
心にやましい事のある人間は恐ろしい鬼の姿を見て、それが自分の本性とも知らず向こうから逃げていくのだという。

後半の義母の昔話と鬼を感じる事のなかった嫁の前に現われる鬼の描写がドラマチックでスゲー良い!
自分の前に鬼が出てきたら、どんな風に見えるんだろうなぁ。

「時雨鬼」も鬼を扱っていますが、似ているようでまったく違う味付けになっています。

「女の首」
母親を亡くし、身寄りのなくなった男の子があるお店に奉公にでる事に。
昔から声を出さない子供だったが、お店に優しく迎えられ、
ある日納戸部屋の片付けを手伝っていると、押入れの唐紙(から紙・唐から伝わった美術紙のふすま)に女の首が描かれていた。
驚く事に、それは自分の目にしか映っていないようだ。

亡き母の愛情にほのぼのしつつも女が怖い。
「なんでまた、カボチャを」っていう終り方が素敵。
カボチャにはそれはそれは綺麗な神様がいるんやでぇ※そんな台詞は出てきません。

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