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2010年6月 6日 (日)

本【肉食屋敷/小林泰三】

肉食屋敷/小林泰三

肉食屋敷
ジャンク
妻への三通の告白
獣の記憶

4編収録の短編集
本人によるあとがきも収録!

「肉食屋敷」

村民からの相談で研究所を訪れた村役場の職員。
自宅兼研究所の持ち主の男からあるお願いをされる。

理由を尋ねる職員に、男が語る
恐竜の研究が作り出してしまった生物とは……。

「怪獣」がテーマで、こんな話が出来るのか!なんてこった!
生物が怖い。読んでるだけで生臭い匂いがしてきそうだ。

別にいいけど「肉食屋敷」ってタイトル、なかなか手に取り難いと思うぞ。
「脈打つ壁」から改題したそうだが、良かったのか悪かったのかわからない。
(どちらも、意味は確かにそうなんだけどさ……)

悪趣味な研究所作ってんじゃねーよ!と思ったらなんと!!っていうオチは良いよ(笑)

最後の「○○だよう」って語尾がちょっとかわいい。おっさんだけど。

「ジャンク」
冒頭から人造馬が出てきたりとか人間の脳をCPUに、とか
舞台が判りにくいな、と思ったら、なんか一気に色々な事が起きて、結果面白かった。
西部劇+ゾンビがテーマらしい。西部……?うそだっ!
結構好きだけど、やっぱりきがくるっとる。

「妻への三通の告白」
最初は妻へ宛てられた感謝と優しさの溢れる感動的な手紙。
ところが、引き出しに入ったままになっていた手紙に書かれていたのは……

「口説く」をテーマに書いたらしい。
どんな頭してんだ!泰三さん!最高!
題材はギリシア神話にも遡るとかなんとか。

オチは読めるけど、手紙を通して徐々に狂気が滲み出してくる感じは良いですね。
三通の手紙を読む順番と書かれた順番がうまい具合に違ってて、
しくみ的には夢野久作の瓶詰地獄みたいな感じ。
しかし、主人公が野原で友人が磯野……しんちゃんとカツオか。

「獣の記憶」

度々記憶が途切れ、その間に自分とは別の人格『敵対者』が現われているようだ。
朝、目が覚めると台所にハトの死骸があるなど、次第に『敵対者』の行動がエスカレート。

記憶系の話好きです。
「奇憶」の奴とはまた違った感じで、今回は二重人格もの。
だけど、普通の逆を行ってるストーリー。
最初に読んだときは「なるほどね……」と思いましたが、
ネタが解ってからもう一回読んだラスト近くはむしろギャグのような雰囲気すら漂っています。

―――
全編、ちゃんとオチもあってきちんとまとまっていると思ったんですが、
なぜか後々もやもやと疑問が湧いてきて、通して読み返してしまいました。
あっさりしているようで実はじわじわ系ですね。

小林泰三本人のあとがきで、作品のテーマが書いてあったんですが、
どんなテーマが課されても狂気で塗り固める手腕が素敵すぎですね。

たまに見せる変にギャグっぽい言葉選びとかも好きですよ!

【※以下、軽いネタバレ含む感想※】

「獣の記憶」と「妻への三通の告白」の主人公って同じ人でも通りそうだ。
獣の記憶の事件の後で、次は自らを暗示にかけてるんだったら、相当波乱万丈の人生。

「妻への三通の告白」の、最初の手紙(最後に書いた)で、
癌の主人公の相談に対し、死後に残された妻の面倒を引き受けると言った磯野。
あれは現実なのか?
現実で、主人公を思っての発言ならば、友情・同情とも取れるが、

「妻の面倒を見てくれると言った磯野」すら想像だったら……野原……。
一番嫌なのが、本物の綾と死別なり何なりで別れてしまった磯野が、面影のある「主人公の妻」を欲しがっているとしたら……引くわー!

二通目での磯野の行動、過去に自分が振られた女と結婚した友人が目の前でイチャイチャしてたら普通怒るだろう。
振られた女じゃなくても、見せつけられたら不愉快だろ!
主人公が振られた事は知らないのかもしれないけど、この酔っ払いも結構イってるよなあ。

前に「人間人形デッドドヲル」っていうおバカエロホラー映画(つまんないけどエロい)を見たんだけど、
あんな風に、作り上げた人間の知らない所で人形が周囲を狂気に惹き込んでいったら、ちょっと面白いですね。

映画はつまんねーけど。

ちなみに言うと、夢野久作の瓶詰地獄も結構えろい。

エロくない小説なのに、なんで最終的にエロの話になってしまったのか……謎だー。

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