本【東亰異聞/小野不由美】
東亰異聞/小野不由美
帝都・東亰の夜は、子供を攫う人魂売り・居合い抜き・
鋭い爪で人を切り裂く赤姫姿の闇御前・高台で人を襲う火炎魔人、
命の次に大事なものをお代に頂くという、店主が般若の仮面を被った般若蕎麦の屋台……
こんな怪しい住人であふれています。
行方不明になる子供や、襲われて命を落とす人も後を絶たない。
妖怪の仕業のように囁かれている事件だったが、
新聞社に勤める平河新太郎と便利屋の友人・万蔵が事件を調べるうちに
華族・鷹司(たかつかさ)家の人間が二人、続けて襲われ、
鷹司家の家督をめぐる複雑なお家騒動が見えてくる。
「東京」じゃなくて、京の字に横棒をもう一本引っ張った「東亰」という、
ほぼ東京だけどそうじゃない所を舞台に、
ほぼ魍魎だけどそうじゃないようなそうなような者たちが起こす事件。
最初はどっぷり怪奇モノ……と見せかけて犯人探しのミステリーへ。
なぁんだ、ただのミステリー物だったのか~と思わせて…………!
幻想怪奇な雰囲気はすごく良いです。
黒衣の男と娘人形の会話は言葉使いが難しくてあまり理解できなかったが。
常と直の兄弟が切ないけど良い。
平河さんもある意味切ない。この人何かしたっけ……。
気に入ったのはチロー館。
「チロー館」とは、お話に出てくる鏡仕掛けの迷路の出し物ですが、思わず声に出したくなるな、チロー館。どういう意味なんだろうチロー館。
そして、パラレルな東亰に対して京都はそのまま「京都」として出てきた。だからなんだというのだろう。
ちょろ出キャラの輔はもうちょっと活躍しても良かったような。なんかもったいないキャラだ。
小野不由美さんは、魅力的なキャラを書くのが上手い。
挿絵はなくとも、きちんと漫画的な魅力のあるキャラクターが出てくるんで分かりやすいです。
しかし、気の強いばばあと小娘だった今回メインの女性キャラは……次に期待。
ちなみに、あらすじのコピーに“官能美漂わせる伝奇ミステリー”とありますが、
別にエロくはないです。妖艶な感じはあるけど、エロは期待しないように。
誰もそんな期待はしてなかったりして……うわ、恥ずかしい!
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