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2010年8月 9日 (月)

本【脳髄工場/小林泰三】

脳髄工場/小林泰三

「脳髄工場」
「友達」
「停留所まで」
「同窓会」
「影の国」
「声」
「C市」
「アルデバランから来た男」
「綺麗な子」
「写真」
「タルトはいかが?」

グロすくなめの短編集。

「脳髄工場」
犯罪者の更正・犯罪の抑止の為に始まった人工脳髄の装着。
脳の環境を矯正し均衡を保つ「人工脳髄」が広まっていくにつれ
装着していない天然脳髄の人間よりも、人工脳髄を装着した人間の方が社会的な信用を得るようになり、
次第に一般の人間も人工脳髄を装着する事が当たり前になっていく。

人工脳髄を装着した人間に自由意志はあるのか……

人工脳髄、自分は欲しいよ。
でも理髪店で処置すんのは衛生的にどうなの?
ブラックジャックが手術する時のビニールみたいなやつがあるのか?
そして、処置する人は人工脳髄つけてはいけないそうだが
生まれてすぐに人工脳髄を付けるのが義務付けられたら誰が継ぐんだろう。
主人公の少年は、天然脳髄を貫いて理容師になれば良かったのに!

「友達」
妄想力最強の冴えない少年が、理想の自分を描き、友達として生活する。
「ドッペル」と名付けた理想の自分は、あたかも意志があるように会話し、
行動する(ように自ら思い込む)が、次第に自分でも意図しない行動を起こし始める。

ヒロイン「鮎川みち」の描写が良い!
「肩まで伸びた真っ黒な髪は時々丁寧に編み込まれていることもある。
肌の色は白すぎず、黒すぎず、僕の心をとらえる明るく匂いたつ色をしている。
眉の形は細いわりにくっきりしていて、顔の表情を和らげていた。
目は少し吊り気味にも見えたが、まん丸で黒目がちなため、きつい印象はまったく与えていない。
鼻と口は小さく上品で、唇は少し捲れ気味でやや幼い雰囲気。
頬には張りがあり、ほんのりと薄桃色」

この文章だけでごはん三杯いける!脳内萌え絵化大成功。
冒頭は本当に良い。冒頭は。
主人公の妄想力の強さ(だけ)がうらやましい!

「停留所まで」
バスの中で会話する子供「こんな噂、知ってる?」

ペラペラ語られる都市伝説が面白い。
普通のオカルト話っぽいけど、こういうのも面白いですね。

「同窓会」
同窓会の席に来るはずのない人が……

これまたオカルト系でナルホド系。

「影の国」
ビデオテープの整理を始めたところ、覚えのないテープを発見。
再生してみると、自分がカウンセリングをした患者の記録であった。
しかし、ビデオの中で男が語る内容にはまったく覚えがない。

あはあはあ、あはあはあ(笑い声)
男の語りを聞くうちに、ずるずると狂気の世界へ。結構好き。

「声」
拾った携帯電話に「未来の自分」からの着信。
未来の声に従って富を得ていくが……。

短くてスパッと落ちるので分かりやすい。
藤子F氏の異色短編集に似たような話があったなぁ。
未来の自分がわんさか出てくる「自分会議」
あれも結構好きだ。最終的に誰も居ない部屋のカットで終わるやつ。

「C市」
まんまクトゥルー小説
クトゥルー好きなら……。

「アルデバランから来た男」

探偵事務所に相談に訪れた男「フスツポク」はアルデバラン星系から来たという。

SF(?)ギャグ!

「綺麗な子」
安全で清潔で手間の掛からない電子ペット。
本物のペットを嫌悪し、電子ペットに愛情を注ぐ女、
「愛情を最大限に引き出す機械」としか見れない男。

女=クズという図式、いや、むしろ人間=クズ
人間の存在価値のなさが浮き彫りに。

「写真」
写真研究家の男に、心霊写真が届く。

オカルト……ギャグ……?
「昼間あの子が来たんでしょう」の台詞が腑に落ちないような。
5ページの超短編。

「タルトはいかが?」
姉の元に届いた手紙の内容は“涼子”との同棲を知らせるものだった。
涼子の手作りしたお菓子の素晴らしさが綴られていたが、
そのお菓子を作るためには欠かせない物があった。
次々に手紙が届くが……

「拓哉」からの手紙で構成されていて、
謎を含んだ犯罪者の手記風。

全体的にグロは少なめで、むしろ人間の意識や存在やらを考えさせられる話が多いです。
会話が連続するとちょっと読みにくい所がたまにありますが、ストーリーは読みやすい。

普通のオカルト話っぽい掌編が多数ありますが、
オカルト好きなので問題なし。怖くはないけどそもそもホラー文庫ですし。
短編・掌編とはいえ11編も収録されているのでお得感はある。

この中では「影の国」「友達」「停留所まで」が好き。

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