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2010年11月21日 (日)

本【鍵/筒井康隆】

鍵/筒井康隆 (角川ホラー文庫)

「鍵」「佇む人」 「無限効果」
「公共伏魔殿」 「池猫」 「死にかた」
「ながい話」 「都市盗掘団」 「衛星一号」
「未来都市」 「怪段」 「くさり」
「ふたりの印度人」 「魚」 「母子像」
「二度死んだ少年の記録」

恐怖小説短編集
他の作品集で読んだ事のあるものが少しありましたが、
読み返したいと思っていたり、オチを憶えてなかったりしたので
問題なく楽しめました。

恐怖小説ですが、オバケは出てきません。
「怖い」より、巧い・面白いの方向で安心して読める。


「鍵」
ポケットの中に入っていた鍵。
その鍵を使って物置状態になっている家に入ると、引き出しの中から昔の鍵を発見。
鍵を使うと、中から忘れていた鍵が出てくる。
以前の家、仕事先のロッカー、学校……
長い間忘れ、そのままになっていた鍵、そして扉の向こうには……。

鍵、また鍵で、長い間封印されていた扉をあけるドキドキ感。
面白い、そして怖い。
そして、おまえ鍵の持ち逃げしすぎ!

「死にかた」
その日突然、オニが会社にやってきた。
一の瀬、二谷、三田、四谷、五島……次々と殺されて……。

それぞれの嫌われるポイントが語られたり、エゴを剥き出しにしつつ数え歌の如く殺される人々。
日頃の鬱憤晴らしのような話。

ところで、一の瀬~十倉課長と来て、主人公の名前は何だろう?
順番的に11が付くはずだが……

ぐぐってみたら
「十一月二十九日」と書いて「つめづめ」と読む苗字があるとか。本当?

「母子像」
家に居る筈の妻と子の姿が見えない。
外出した形跡はないが、子供に買い与えた猿のおもちゃが無くなっていた事から以前起きた不可解な出来事を思い出す。

美しく、不安なラスト。
妻子の“ある意味で”物言わぬ姿がじわじわ怖い。

猿のおもちゃと子供のアルビノは何か関連があったのでしょうか?

「二度死んだ少年の記録」
ノンフィクション風の書き方で、
「時をかける少女」等の作者で知られている「おれ」が、投身自殺のあった学校に取材に行く。
少年が屋上から身を投げ、救急車が到着するまでの不自然な空白の時間
学校で何が起こっていたのか。

いじめを苦に屋上から身を投げた少年が、明らかに死んでいる風貌で起き上がり、
ふらふらと校舎の方へと歩いていく……
そんな凄まじくて恐ろしくて悲しい話をなぜか飄々と記す。
内容は酷いのにギャグっぽい文体。
嫌いじゃないけど。

「池猫」も、少しギャグっぽいと思った。
漫画にするとしたら、描く人によっては可愛かったりもするだろう。
しかし不気味でもある。

自分的に怖かったのが「二人の印度人」
電車で見かけた二人の印度人がなぜか付いて来て、家に侵入しようとしてくる。
言葉も通じない、いくら押し返しても平然と侵入する印度人。
しまいには出刃包丁を突きつけて追い出すが……。

正体不明の二人の印度人がただただ家に入ってこようとするという、
意味のわからないこの話がなぜかすごく怖くて二回程読み返した。

ほんとに意味不明。でも怖い。
読んでて思い出したんですが、
実は昔これに少しだけ似た状況の夢を見たことがあるんですよ。
たぶんその夢のせいで数倍の怖さを味わったんじゃないかな……と。
(夢は印度人じゃなかったし諸々の設定は少し違うけど)
夢の、説明できない恐怖!
よくこんな話を文章にできるなー!

うーん、また夢に見そう……。

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【書籍・小説】ホラー系」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。
自分も筒井康隆がすきなので同じ作品を何回か読み返したりよくします。
僕は「二度死んだ少年の記録」がいちばん印象深いです。またこの作品が収録されていた『最後の伝令』全体の雰囲気が好きです。
ホント筒井さんは“怖い”ことを“笑える”ことにしてしまうのが上手いと思います。

投稿: snsk | 2010年11月21日 (日) 17時48分

snskさん、はじめまして。
私も「二度死んだ少年の記録」気に入ってます。
ノンフィクションぽく書いてあるところにもハラハラさせられました。

『最後の伝令』面白そうですね!
今度探してみます!

投稿: 森野 | 2010年11月23日 (火) 01時21分

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