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2010年12月22日 (水)

本【黒祠の島/小野不由美】

黒祠の島/小野不由美

3日後に帰る、と言い残し失踪してしまったノンフィクション作家の葛木志保。
失踪前、仕事を手伝っていた探偵事務所の友人・式部剛に自宅の鍵を預けていた。

式部は彼女を探すために行き先を調べ、夜叉島へと向かう。
 

冒頭島の集落を歩くシーンが凄く良い雰囲気。
民家に貝殻で作った風鈴が吊るしてあったり、
無数の風車が置かれていたりするのが不気味で良い!
風鈴の音とか沢山の風車が回る映像を思い浮かべるとゾクゾクしますね。

葛木志保の情報を得る為に聞き込みをして歩く主人公に対し、
住民達が一見普通に接しているのに、ひょんなことから一切の情報を伏せていた事がわかり、
余所者である主人公は誰も信用できない、という状況も恐ろしい。
しかも船でしか島を出られないので簡単に逃げられない。
 

後半になると謎解きがメインになり、島民たちもペラペラと重要な事を喋ったりするので
冒頭の閉塞感が一番の見所かもしれません。

島民の信仰が事件に深く関わっていて、タイトルの黒祠もそこから来ています。

―黒祠とは―(アマゾンからコピペ)
明治政府の採った祭政一致政策によって、神社は信仰の対象ではなく、
国民が義務として崇拝する対象とされた。神社は国家の宗祀(そうし)として社格制度のもとに統合され、国家の施設とされた。
全国の神社は位階制によって整然と編成され、行なわれる祭祀も国家の定めた様式に統一された。
この統合に与(くみ)しないものは迷信として弾圧されなければならなかった。
国家神道の中にあって、黒祠とは、統合されなかった神社を言う。それは迷信の産物であり、言わば邪教である。

主人公が神仏に詳しすぎてちょっと置いてけぼりを食らいましたが、
まあ、島を出られない事で調べる手段が限られているので、主人公が詳しいってのが一番手っ取り早いのでしょう。

しかし、主人公のへぼい推理はちょっと……。
途中でなんとなく犯人とか、事件のからくりは解ってくるのに、
主人公は「変な推理で一人ショックをうける」→「全然違いました」の繰り返し。
しっかりしろ探偵!カッコイイのは名前だけなのか!
この主人公による前進しない推理のせいで、何度も同じシーンを見せられるというか……。
え?その情報は簡単に信じちゃうの?とか、このタイミングでそれを調べる意味が分からない、とか……
わざとやってるのかと思うほど。

あと、登場人物表と家系図が欲しかった!
誰の何番目の息子だとか、名前だけ出されるとわからなくなってしまうので……。

あれこれ言いつつも楽しめましたけどね。

読み終えた後もまだ夜叉島の空気が残っているような感覚がありました。
もっと読みたい!的な余韻。

流れは地味ですが、最後の方で急に漫画的なファンタジー展開になるのもちょっと面白い。

あの人が主人公に情報を聞こうとした意味ってあったのだろうか……?

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