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2012年8月

2012年8月17日 (金)

憧れの「どんどん焼き」

私自身食べた事はないのですが「どんどん焼き」という食べ物をご存知でしょうか。
駄菓子のせんべいではなく、お好み焼きに似たもので、
昔は東京でも屋台で売られていたそうです。

どんどん焼き-Wikipedia
入っている具にも色々ありますが、
丸型のもの、二つ折りにしたもの、割り箸に巻きつけたものなど、形も様々。

食べ物について書かれたエッセイを読んでいると
この「どんどん焼き」というものについては色々な方が書かれています。
屋台の思い出を語るおっさん達の楽しそうな様子も相まって憧れが募ります。

■池波正太郎『食卓の情景』

屋台のどんどん焼きは、店によって色々な特徴があり、
子供たちも自分好みの店を探しに遠くの街まで行っていたとか。
どんどん焼きの他にもパンカツ(三角に切った食パンに卵・メリケン粉をといたものをつけて焼き、ウスターソースをかける)
など興味をそそられる食べ物がたくさん出てきます。
池波さんの言う「どんどん焼き」は
エビ天・イカ天やパンカツ、といったメニューの総称なのかな?
子供の頃は仲良くなった屋台の店主にオリジナルのメニューを提案した事もあったそうです。
大人になってからもどんどん焼きを作ってビールを飲んでいたとか。

池波さんは別のエッセイでもどんどん焼きについて書いているようですが現在未確認。
 

■阿刀田 高『食卓はいつもミステリー』

「屋台の味」の項でどんどん焼きにふれています。

やはり家でも作っていると書かれており、
作り方は
「熱い鉄板の上に水と卵でといたメリケン粉を薄く流す
鉄板の上で円形を作って固まりかけるところに
切りイカ(スルメを機械で細かくしたもの)をほぐして広げ、紅しょうが、干しえびを散らす。
フライ返しでギュウッと押し付け、クルリとひっくり返し表の方も焼き、
またもとに戻して筆で醤油を塗って完成」

四分の一に切った新聞紙にのせて食べる”と余分な油を吸って良いらしい。

かなりこだわりを持っていらっしゃいます。
どんどん焼きはソースのイメージがありましたが
醤油味で、切りイカが入るんですね。


■吉田戦車『逃避めし』

http://www.1101.com/sensha_meshi/2009-10-22.html
(↑元々webでの連載なので本文が読めます)

タイトルは「どんど焼き」ですが、本文に「どんどん焼き」とも呼ばれると書いてありました。
店では「海苔がぺろっと貼ってあった記憶もある」そうです。
戦車さんは岩手出身なのでウィキペディアに載っている情報とだいたい一致していますね。
こちらも醤油味。

実際に作ったものは円形、単行本の挿絵は二つ折りの形でした。

「どんどん焼き」屋台の思い出を持った大人は高確率で家で作っているという事実が浮き彫りに!

今のところ知っているエッセイはこの三つだけですが、
最後に私が鉄板焼き屋台に憧れを持つようになった原点と思われる児童書がコチラ

■富安陽子
『キツネ山の夏休み』

この本自体が好きで何回も読み返していました。
どんどん焼きとは違うけど似ているのが
主人公が縁日に行くシーンで出てくる「洋食焼き」
これはどんどん焼きが進化した「一銭洋食」の流れを汲んだもののようです。
本の中に出てくる説明は
「鉄板の上にといた小麦粉をのばし、その上に
きざみキャベツと天かすと紅しょうがを目にもとまらぬ早業でばらまく」


↓イメージの近い動画がありました
どんどん焼きは洋食焼きでお好み焼き?言いたい事はわかるけど!(笑)


「キツネ山の夏休み」の洋食焼き屋台のオヤジが、なぜか子供には洋食焼きを売らず
安い「食パン焼き」しか売ってくれないというのが印象に残っています。
食パン焼きは、鉄板で焼いた食パンにソースと青海苔をまぶしたもの。
洋食焼き100円、食パン焼き70円。
この食パン焼きの方も良いですね。パンカツよりも簡単です。


山形県は今もどんどん焼きが名物として残っているらしく、動画もありました。
割り箸にクルクルッと巧みに巻きつけてジュウってやる所がなんとも良いですね!
しかも、出来上がると表面に具材が三色並んでる~!
持ち手が付いているからお祭りとかで歩きながら食べるのに良さそう。

しかし最初に言った通り、食べた事がありません。
自宅でも簡単にできる物ですが、食べてしまったら
今以上に憧れを抱く事はできないだろうと思うと、なんだかもったいない気がして。
やっぱり最初は縁日とかで食べてみたいな。

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2012年8月12日 (日)

わくらば日記/朱川 湊人

わくらば日記/朱川 湊人

連作短編五本収録

大人になった主人公の和歌子が、姉との思い出を語るという形で綴られている。
姉の上条鈴音は、人や場所の記憶をビデオのように見る事ができる不思議な能力がある。
妹の和歌子が口をすべらせた事から、能力を知った刑事に協力を頼まれる。

ちょっと辛い(切ない)系統の話が多くて
角川の紹介に書いてある「ほっこり小説」はちょっと違うんじゃないかな……。
浅田次郎の小説によくある人情鬱な感じに近い。
去年の夏の冊子で浅田次郎の『霧笛荘夜話』も「楽しむ」カテゴリーに入っていたが、
どんな心を持っていたらあれを楽しく読めるのだろうか

こちらも「楽しむ」カテゴリーの『わくらば日記』
著者の朱川湊人お得意のノスタルジーな昭和の風景の中に
姉の能力で殺人事件の捜査に協力する、といった非現実的な要素も入った微ホラーファンタジー。
昭和の出来事や流行歌を絡めて舞台を作るのが上手いです。

雰囲気は良いんだけど、微妙に後味悪い話も多かった。
とはいえ、連作短編なので、登場キャラが同じな分親しみがわきやすいかな?
早い段階で姉が若くして亡くなっている事が知らされるのでやっぱり暗くなる。
心のやさしい姉が陰惨な殺人現場を見て苦しんだり、とかも辛い所。

“姉さま”こと上条鈴音は、優しくて、見た目も外人さんのように綺麗で、
不思議な能力があってもちろん勉強もできて、欠点は病弱なところ。
……なんともすごい設定。
体が弱いこともあり、能力を使うことにあまり積極的でなく
妹の方が事件捜査などに関わるきっかけを作るのだが、
「能力の事は人に言わないように」と姉から言われたにもかかわらず
人助けをダシに男の気を引くためにさらっと秘密を漏らして、
結果人助けの方も大きなお世話に終わるという……ある意味救いがない。

しかし姉の方もその後の話で、好きになった男の前で能力を使ってたので
まあ、そういう姉妹なんでしょうか。
四話目の話は切ない初恋モノで、良いんですけど、
三話で“姉妹同然”とまで称した友人が犯罪に関わっていた過去があるかも……
という時には出し惜しみした能力、すぐ次の話では男の前で簡単に使うんだ、的な、ね。
それは置いといて、四話目が一番好みの話ですけどね。
大層な殺人事件や社会問題より、こういう地味な話の方が似合ってる気がする。

これがシリーズ一作目で、続編も既に出ているようですが、
メインの話は短編ごとに完結しているのでそれほど問題はないものの
最後に、あるキャラの不幸を匂わせる発言をして「それはまた今度」(続編読んでね)
みたいなのがモヤっとして嫌だなー。
どちらかと言えばハッピーエンドが好きで、
架空の話でも可哀想なのはあんまり……なので続編は読まなくても良いかな。

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2012年8月 5日 (日)

【本】九十九怪談 第三夜/木原 浩勝

九十九怪談 第三夜/木原 浩勝


短い話が沢山読めて面白いんですが、百物語としてみるとかなり微妙です。

まず「怖い」話がほとんど無く、あんまり印象に残る話も無かった。
不思議ネタは好きなので、決して詰まらなくはないけど、インパクトが薄いというか。
一晩で読破する一人百物語をやろうと思って買ったので
ゾッとするようなタイプの怖い話をもっと読みたかった。

新耳袋みたいにカテゴリー分けはされていないんですが
何処となく似た話が続いているのは何でだろう?
最初の数話を読んで、やけに電車関連の話が続くから
カテゴリー分けされているのかと思った。

最終話「弟みたいなの」は最後に余韻を残そうとしたのだろうか?
怪現象に説明がつかないのは構わないけど、
友達の家での体験で、その後も友達とは学校とかで会うだろうに何の説明もなく終わっちゃう。
「友達」は生きて存在しているんだから、
「その後疎遠になった」程度でもその部分の説明がないと
実話怪談の体が崩れちゃうような……。

同じ人の話が多いのはまあ良いとしても、話の区切り方がセコい。
百物語をするとして、何人かで集まって一人の話が終わった後ロウソクを消して
次の話が「その事(前の話)があった後」ってはじまると思うと違和感があるし
それって全部で一話じゃないの?というような話が分けられているため
なんだか水増しのようなセコさを感じてしまう。
サーバールームの話とか、結構好きだけど一話にまとめてほしかった。
話が終わった後の無駄な余白も多かったからなおさら。

不思議系統の話は良いものも多く、夏に出すシリーズと言うより
秋の夜長にでも読みたい一冊でした。

個人的に面白いと思った話は、
おばあちゃんの家に行ったら、居間におばあちゃんが座っているのに
家の奥からもおばあちゃんが出てきて、びっくりしていたら出迎えに来た方のおばあちゃんが
「また私が出たの。私には見えないんだけどね」って言う話。

おばあちゃんの飄々とした対応で、
残像とは……デキるばあちゃんだな!とか思ってほのぼのしそうになったけど
よくよく考えると「自分がもう一人座ってる」って家族とかに言われたら結構怖い。
いつも座ってる場所だったら、自分には見えないから普段は気付かずに重なってるの?
ある日突然見えたら……入れ替わられちゃったりして。

パソコンの前とかにも見えない自分が座ってたら……うわー!

 
ちなみに、一夜ですべて読んでも何も無かったので安心して読めますよ。
(何か起きても責任は負いかねます)

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