【書籍・小説】ホラー系

2020年6月13日 (土)

青空文庫で岡本綺堂

最近青空文庫のアプリをダウンロードしました
アプリだと縦書き表示にしたり文字を大きさや背景を変えられるのが良いですね。

今、岡本綺堂を全部読もう!と思って挑戦しています。

岡本綺堂は怪談ぽい話が多めで実話怪談的なものから
スパッと解決する探偵もの、モヤっとする犯罪もの、
欧米や中国の話の翻訳もあり
続けて読んでも飽きない面白さです。

女の人でも「かれ」と表現するとか、それっきりを「それぎり」と言うとかの言い回しの違和感や
名前の頭に「お」を付けるアレで「おむつ」という名前が出てくるとフフっとしてしまうとか、そういうちょっとした引っ掛かりはあるものの
慣れればまあそういうもんなんだろうと特に気にならなくなります。

電子書籍だとなかなか集中しづらいイメージがありましたが
数ページの短い話も多いので慣らしていくのにも最適。
しかも!読めない漢字や知らない物が出て来ても、電子書籍だとすぐに検索出来て便利っ!
読み方の見当もつかないような漢字でも長押しで検索に直結できるので入力できない心配もなし!
めーーーっちゃ便利!!
昔、江戸川乱歩の作品によく出てくる「傴僂(せむし)」が読めない上に漢字の出し方もわからずパソコンの手書き入力で検索した思い出~!


怪談会で集まった人達が語る話が十話ほど入った『青蛙(せいあ)堂奇談』
『異妖編』『月の夜語り』など数本の話が入っているもの、
単独のものだとほんの数ページの『停車場の少女』など
不思議系の怪談好きにはたまらない。
怪談でも、「殺された女性」や「守護霊」のようなきっちりと意味があったり霊能者がドーンと解決するものより
人間か幽霊か狐狸妖怪か誰なんだか何の目的なんだか別にわからない、
そんな感じの怪談がなぜか好きな私の需要にベストマッチでした。

あと岡本綺堂の謎の魚類、特にカニ好きさが気になる。
河童はもちろん、主のような巨大魚、ウナギなどが関わる話が多く
中でも異彩を放つカニ。
青蛙堂奇談怪にも謎のカニの話があって、意味わからん怖さがあるけど
蟹の這いずった跡が……!(デデーン)みたいに言われるとなんか面白い。
(あと飼い犬にカニを食わせて死んだのに別の家の犬にもカニ食わせてる人間がヤバい)
『五色蟹』でもわけわからん呪いを発揮するカニ。
恐ろしいカニ!
しかし『蟹満寺縁起』ではヘビと戦いカエルや娘を助ける強くて良いカニが出てきます。
良いカニ(笑)


そして、クソ人間や犯罪者がたくさん出てくる愛憎ものなどに続き
随筆もなかなか数があるんですがこれがまた面白い。
『火に追われて』のような関東大震災の地震から遠くの火事が迫ってくる様子の実体験もあれば
家にある蜘蛛の巣がすぐ復活するとか庭でヘチマ育ててるみたいな普通の日常のものもあり。

年賀はがきが出て来て年始の挨拶周りが廃れていくことを嘆いたり
お台場が物悲しく放置されていたり
その時代の人の生活の様子が今とは全然違ったり、今も同じようなこと考えてたりする感じがグッときます。

生活のエッセイで昔の日常見るの楽しい……。
世の中のみんな、もっとブログとか日記書こう!と言いたくなります。

暑くなってきて、世間では怪談の季節!
岡本綺堂のじんわりホラー小説を読んでみてはいかがでしょうか。

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2020年2月22日 (土)

【小説感想】死国/板東眞砂子


死国/板東眞砂子

昔映画になっててタイトルだけ聞いたことある系ホラー小説

十数年ぶりに、子供時代を過ごした村へ行く比奈子。
昔いつも一緒に遊んでいた幼馴染の莎代里が既に亡くなっている事を知り
莎代里の母親が変な儀式を行っていることはさておき
東京で男に振り回され疲れた比奈子が同級生に誘われ参加した同窓会で初恋の人・文也に再会する。


最初の方は何人かの視点を掛け持ちして話が進むため
こいつ誰だっけ状態になりやすいけど、読み進めるうちに人物像がはっきりしてくるので
その辺はまあまあ問題なし。

高知県の小さな村が舞台になっていて
人の距離感が近くて楽しくもありうざったくもあり
良すぎもせず悪すぎもしない田舎の感じは結構好きでした。
急に怒りだして不機嫌になる爺さんの気まずい感じとかすごくリアルですね。

儀式によって既に亡くなったはずの人達の気配が村中に……
という流れは良いのですが
比奈子が色恋のことばかり考えていて、かなり自分勝手。

脇役の人達は方言で生活感があるのに対してメインの比奈子や文也はいかにも小説的な
「~だわ」「~かしら」「~さ」みたいなスカした感じで喋り
性格的にもあまり好感が持てない。

メインは比奈子と文也、そして死んだ莎代里との三角関係な感じなんですが
読み進むほど思うのが

文也って取り合うほどの男かね?

文也視点で書かれるパートもあるけど
言い訳じみた事ばっかりで郷土史を調べてる学者もどきのわりに探究心も感じられないし
いかにも物事に向き合わないで逃げてる感を出しまくっている。

だいたい、小学生の頃好きだった男なんてせいぜい「足が速い」程度の魅力だろうに
既に大人の比奈子はどこが好きで入れ込んでるのかよくわからない。
よっぽど顔面が良いとか背が高いとかの秘密があるんでしょうか。
杏の旦那の人みたいな感じでしょうか。

読んでいる間
「あんた!やめときなさいよあんな男!
さっさと見切りつけて東京帰んなさいよ!」
みたいな脳内おばさんのツッコミで頭がいっぱいになりました。

どうでもいいけど、わりと緊迫したシーンで
比奈子の意見を文也がそっけなく否定したとき
「二人の間に突然そそり立つ壁が」という表現が出てきてなんか笑っちゃいました。
そそり立つ壁があったらそこはもうSASUKEや!(すみません)

不気味な感じの演出なんかは良いのに
いまいちな恋愛の方が目立っちゃって個人的にはもったいないと思いました。
知らん人らの恋愛とかどうでもいいので
もっと、協力して謎を追求して欲しかった。
長年意識不明の人が突然目覚めてメッセージを託される一大イベントの直後に
それより恋愛の悩みが上回ってる女……いいかげんにしろい!

最初に村に行くまでの道で、タクシーから子供連れで歩くお遍路さんを見た……
と思ったらお遍路さんは一人だけだったという何かを予感させるシーンの不気味感は良くて
これから何が起こるのかワクワクしたのに……!なんだか惜しい作品でした。

映画は見たことないんですけど、主人公とか人物の設定とか
ちょっと変えたらすごく面白くなりそう。
うーん、もったいない!

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2019年8月25日 (日)

【本】残穢・小野不由美

実は結構前に読んだんだけど、姉妹本(?)である『鬼談百景』を
読んだので、書きかけて放置してた感想を掘り出して来ました。


残穢/小野不由美

怪談を集める女性小説家の元に届いた
あるマンションの一室で起こる怪現象。
投稿者と交流し、調べていくうちにその部屋だけでなく
同じマンション内でも奇妙な事が起きていて……。

『鬼談百景』の中の一話を深く深く掘り下げたような長編。
淡々としたドキュメンタリー調で進んでいくので
この物語に出てくる「小説家」は、著者本人?という
“現実かもしれない”書き方が恐怖を引き立てています。
実在する人も出てきて、知ってる小説家が出てきたときは「おっ!」ってなりました。
登場人物が心霊に対してわりと冷静なので
「アタシは幽霊が見える」みたいな、知らねーよという寒い感じや、
変に万能な霊能者が出てお祓いするような馬鹿馬鹿しさは無く
調べものに関してもかなり真面目。

最初は小さな謎だったものが、実はとても大きな謎のほんの一部で
いつの間にか自らもその中に取り込まれているという手に負えない感
一部屋からマンション全体、はたまた近所、引っ越した人とか
なんかもうどうでもいいほど遠く離れた地まで怪奇現象が!?
まさに怪奇現象のパンデミックや~!みたいな感じです。
“事故物件”に近いけどちょっと違う、
どうにも回避できない理不尽な絶望感がありました。

最初の調べ始めはかなり面白いんだけど、
途中退屈に思う瞬間もちょっとある。
今って何の話してるんだっけ?もうそれ関係ないんじゃね?
と言いたくなるほど遠く遠く話が飛んでいくし、
登場人物は冷静ぶってるけど悪い方に進んでいくし
あんたらストレッチでもしてなよ……と諭してやりたくなりますが
コツコツと調べて辿り着いた事実で
謎だった出来事が繋がると「なるほど」と頷ける部分もあります。
「小さい物音」だけの怪談がここまで広がるか!
ということが一番の驚き。

話が大きくなりすぎて、自分が主人公だったら絶対途中で諦めて
「もういいや!寝よ!!」ってなるだろうなぁ。
でも結局のところ最後まで読んでも
どうにもならないと思ったらどうにかなってて結局何なの?
っていう感じがしてしまいました。
やっぱり寝るのが最強なんじゃないっすかね。

幽霊とか現象の原因よりも、好きな作家と協力して
色々検証したり調べるっていうのが楽しそうでうらやましかった。
私もこんな、オカルト好きだけど信じすぎず、頭ごなしに否定はしないけど
わりと科学的に検証したりするタイプの人と友達になりたいです。

コツコツコツコツ地道に調べる過程の好奇心と、
じわじわ迫る恐怖といった感じなので
「本当の話かも」の雰囲気に上手く乗れれば
かなりの恐怖を味わえるかもしれません。
引っ越しをしたばかりの人なんかは読んでるうちに不安になって
部屋の物音に敏感になりそうです。

調べたら、この『残穢』と『鬼談百景』ともに映画になっていました。
このストーリーで映画……地味そう
そのうち見てみようと思います。

あと小野不由美さんのホラー系の連作短編集みたいなやつが
いつの間にか二作も、しかも既に文庫まで出てたので買おうっと。

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2019年8月22日 (木)

【本】鬼談百景/小野不由美

またまた怖い話の本を読みました。
夏だっていうのにあんまり怖い番組とかやらないから
私が一人で盛り上がっていこうと思います。
もう夏も終わりそうですけど……。

鬼談百景/小野不由美

淡白な語り口の短い話の連続で
隙間時間にちょこちょこ読むのにも向いてます。
新耳袋みたいな淡々とした短い話が好きならおすすめ。

一つ一つの話にはそれほど怖さがないものの
自分で体験したら結構不気味、何だったのか気になる……みたいな
誰の身の回りにも起こりそうなじわっとした怖さが良い感じです。
百物語的なノリの九十九話収録で、最後に解説で稲川淳二が
しれっともう一話語っているような気がしますが
読み切っても何事も起こりませんでした!

学校や子供時代といった、若い子目線の話が多めで
学校の七不思議的な話もあれば車で心霊スポットに行くような話もあり
変にグロに寄ったりすることもないので
わりと若い世代向けといった感じ。

尻切れ感のある話もちょこちょこあり、
友達が何かを見て、振り向くな!とか言って逃げるタイプのやつが
「逃げた」だけで終わってたりして、
いや、逃げ切った後何見たか友達に聞けよ!
「教えてくれなかった」とか「知らない方がいい」とかでもいいから
とにかく理由もなく聞かないで終わるのはおかしいだろ!!!
とか、どうでもいい所がちょっと気になる。

「街灯」という話は、ネタ的には好きなんだけど
ドラマチックさが逆に微妙かな。あまりにも作り話っぽい。
超センセーショナルな事件モノだと
実在するかどうか調べたら分かっちゃうんだろうし
実話のテイだとなんかモヤっとする。

自分が体験するなら……と思い浮かべながら読むと
「図工室から」くらいなら良いな。
合宿で学校に泊っている生徒たちが人が居るはずのない教室に人影を見て
ベランダに干してあった固まった雑巾が人も居ないのにパリッと落ちて
見えない何かが……
といった感じの話。

へばりついてるパリパリの雑巾が落ちるってのが良いですね。
ホラー関係ないアイテムが怖さを演出する話はなんか好きです。
あと、大勢で見れば後から騒ぐのが楽しそう。
「胡麻の種」では、“胡麻の種をまいて芽が出ないとその人は死ぬ”
……という驚愕の情報が得られました。なんだそれ!
来年はシソかゴマを育てようかと思ってたけどゴマはやめます。

静かな怖さで好きなのが「給水塔」
泣いている女の子を助けようとしたら、
女の子自体が得体のしれないものに思える瞬間のドキッとする感じ
結局何だったのかわからないけどじわっと怖さが残る感じ……
くぅ~!上手いっ!

直接見る系の「雨女」とかは怖すぎて絶対体験したくない。
雨の日、傘をさして田んぼの間の道を歩いていると、
後ろからバシャバシャと足音がして追い越していく女
水たまりに構わず歩くビショビショパンプス女……
荷物を持っていて傘を上げられない状況で足元を見ていると
女が立ち止まって……ぎゃあああああ!こわいいいいい!
寝る前に思い出しちゃうううう!!!
文章なのに、映像的にうわっ!って思う感じがすごい。

まあ、短いびっくり系って感じなので
ほん怖とかで有名人使った長いドラマの間の短いやつに良さそう。

そういえば、今年はゴローさんの「ほん怖」もやらないですね。
やったらやったで見逃したり、ドラマ長すぎとかこの設定いらねぇとか
アホみたいに文句をつけながら見てますけど(しょうもない人間)
やらないというのは寂しいですね!

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2019年8月 4日 (日)

【本】怪談実話集

夏だし、怪談本読みました。

怪談実話集/志村有弘

『怪談実話揃』『日本怪奇物語 明治大正昭和編』などに収録された話を
読みやすく現代文に直したもので
各話の最後に出典が記載されています。
十数ページの話もあれば数行の短い話もあり
なかなかボリュームがあります。

でも、ヤな話ばっかり!

酷い仕打ちを受けて死んだり
濡衣を着せられて殺された人の怨念など
救いのない嫌~な話がやたらに多い!
怖い以前に胸糞が悪い!!!

印象に残った別の意味で後味の悪い話
「血の窓」
仲の良い夫婦の旦那の方が目の病気になって働けなくなり、
妻が遠くの店に住み込みで働きに出て、旦那にお金を送っていた。
ある日妻の働く店に同郷の人が来たので旦那の病気の具合を尋ねると
「病気も治って最近若い嫁さんをもらってよろしくやってるよ」と言われ
裏切られたと思った妻が翌朝勤め先の部屋で窓を血だらけにして死んでいて、
同じ時に旦那も遠く離れた地元で喉を噛み切られて死んでた。
けど、実は「若い嫁さんをもらった」人は同名の別人の勘違いでした。
その勘違いを妻に言ったやつもそのうち死にました。という話

ひとつの勘違いで突っ走り大惨事。
ろくに確認もしない奴ほど確信持って思い込む恐怖……。

勘違いで呪い殺された信用ゼロ旦那も可哀想だけど
何も悪くないのに事故物件になった勤め先は
妻が死んだ窓の所には幽霊が出るようになったので窓を潰したという、迷惑すぎる後日談付き。
どうにかならんかね!!


あと、個人的に気になった話は
買ったスイカを切ったら断面が女の顔!という大変に気味の悪い「西瓜の怪」
切っても切っても女の顔が出てくるヤバいスイカを売りやがって!
と客からクレームを受けたスイカ売り。
スイカを譲り受けた屋敷に言いに行くが
その屋敷の主人は「うちで食べてるけど何ともないし美味しいスイカだよ」と言う。
そこでスイカを割ってみると普通のスイカ、しかし別の場所で割ってみるとやはり女の顔に。ほら見ろ!

それを見て主人が思い出したのは、以前ホームレスの婆さんが屋敷の近くで寝泊まりしていて
病気でろくに動けない老婆に同情した屋敷の人たちが食事をさせたり薬をあげたりすると
「このご恩は死んでも忘れません」と涙を流していたが
数日のうちに亡くなってしまったということがあった。
婆さんを弔ったあと、家の空き地に種も蒔いていないのにおいしいスイカがたくさん出来たので
スイカ売りに分けてあげたのだそうだ。
スイカ畑を掘り返してみると老婆の頭蓋骨からスイカが生えていました。
婆さんの恩返しだね!

……という話。
(※実際はまともな文章です)

これは、いい話
………………か?
いや、結構気持ち悪くない?

他所で割ったスイカはすごい形相の女の顔って……。
自分がうまいうまいと食べてたスイカが他所では顔になるとか……嫌だわ。
婆さん、屋敷の人たち以外はめちゃくちゃ恨んでたのかって感じだし
顔スイカ食ってる屋敷の人も評判落ちると思う。


すごく昔っぽい話もあれば昭和とかの、わりと現代寄りの話もあり
話によっては地名が結構詳しく書かれているものもあるので
ちょっと調べてみるのも面白いですね。

「人を殺す池の狸」というThe・そのまんまタイトルの話で出てくる
西宮の夙川にある「ねてこが池」を調べたら
西宮に「にてこ池」というのが実在していて
ここは火垂るの墓の兄弟が住み着いた所のモデルらしいです。
へー!たぬきが人を化かす大量殺人事件があった所(かもしれない)が!
昔はひと月で4、5人殺ってるたぬきが居たんですね。
怖いよ、やりすぎだよ、たぬき!(これで実話かよ)


総合的には、短めにまとまった色々な話が一挙に読めて面白かったです。

ひどい仕打ちを受けた人が死んでからやり返す話が何本かありましたが
むしろ、よし!やれ!って感じになるのであんまり怖さはなかったです。

ただしいくつかの話は本当に胸糞が悪いので、
読後、別の意味で嫌な夢を見そうな一冊でした。

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2012年9月22日 (土)

【本】Another/綾辻 行人

Another/綾辻 行人

文庫版は上下巻に分かれているが、長いとは感じなかった。
学園物は久しぶりに読んだので面白かったです。
連続怪死事件が起きたり、呪いにクラス中が怯えていたりしても
学園物には違いあるまい。


上巻は、
転校生の主人公が気胸の入院のため遅れて転入したクラスは
どこか様子がおかしく、また、入院中に顔を合わせて気になっていた女子・見崎 鳴と再会したが、
彼女は授業中に一人出歩いたりと不可解な行動をとる。
しかし、教師を始めクラスの連中は、まるで彼女が見えていないかのように何の反応もしない。
ある日、主人公の目の前でクラスメイトが階段から落ちて死亡する事故が起きて……

と、序盤は主にクラスの謎と、見崎 鳴は存在しているのか?という謎を
主人公が色々調べようとしている間に、次々に事故が起こって人が死んでいくという、かなりのホラー路線。

ミステリアスな眼帯少女、その少女とそっくりな人形とかが出てきて、
これはアニメ化・映画化するのも頷ける。
眼帯少女は色白・無表情・意味深発言と、いかにも人気出そうなキャラ。
アニメ版ではキャラクターやオチがどんな風になっているのか、ちょっと見てみたくなりました。

主人公の男の性格は何かイマイチ掴めない。

キングの小説や、ホラー映画が好きで「ホラー少年」なんてあだ名までつけられているわりに
学校の七不思議的なものに冷め切った態度をとって碌に聞かなかったり、
女教師に淡い恋心を抱く同級生に対して「本気か少年」とか、謎の上から目線
そのくせ自分は、病院で一度見かけただけの女の子にグイグイ話しかけに行き、
他の人との話を中断してまで追いかけたりして怖い。
体育の授業中にその女の子が屋上に居るのを見つけて猛ダッシュ、
男友達と帰ろうとしていたら女の子を見つけて猛ダッシュ……
三年生で転入してきた中学生男子として異常すぎやしないか?

こんなにも人目を気にしない行動力があるはずなのに、
物語の本題には度々「直接聞くのは気後れする」とか、わけのわからん理由をつけて
なかなか踏み込まないし、自分や家族がいつ死ぬかわからないような状況でも
妙に斜に構えてるというか、なんとも……主人公って感じ!


以下、多少ネタバレにもなってしまうので注意


後半では、呪いの仕組みが解りはじめ「クラスに一人紛れ込んだ“死者”は誰なのか」を突き止めるのがメイン。
一応伏線はあるので、“死者”を推理する事はできるけど、
呪いに関する記憶や書類が改ざんされるという設定があるので、真面目な推理ものではないです。

じわじわと進めたわりに最後はずいぶんと駆け足で、
急にパニックホラーみたいになって、ある意味驚きました。
『黒い家』みたいな展開だなあ。

もっと学園部分を楽しみたかった。
クラスの大半が死んで初めて「こんな奴居たんだ」程度だし、
第一、赤沢さんとババアには全然ドラマがないのかよ!
赤沢さんが、ツンデレしながら鳴とも協力して
対策係の役割をこなしたら面白かったのになあ~。
まぁ、赤沢さんが解決策を知ったら、それこそバトルロワイヤルが始まりかねないか。

自分は、上巻の後半から下巻に入ったあたりが一番面白かったと思う。
主人公と鳴が2人で歩き回ったりしてる所が楽しそうで、むしろうらやましい
クラス中が怯えているというのに……(笑)

逆に、やたら詳しく解説しようとしている「終わった後に記憶がどう改ざんされたか」
なんてのは、正直どうでもよくないか?
説明のつかない現象をゴチャゴチャ説明されてもね。
死者の事は憶えてない、記録も残らない、そういうモンだって分かってるのに。
むしろ、鳴はなんで憶えてんの?

解決してからあれこれ考えると、序盤の方におかしい行動がかなり多い。
そういうモンなんでしょうけど。
何だか納得行かない所や、まだ裏があるんじゃないかという所は
自分の脳内妄想で補完するのもまた面白いでしょう。

著者のあとがきで、続編の構想があるような事が書いてあったけど
続編があるとしたら、あの刑事さんの娘さんが主人公じゃないかな?
意味ありげに出てきて名刺渡して、最後の方で電話しようとしたら
繋がらなかった……あの人は何の意味があって出てきたのか。
そうだ!続編への伏線だ!
娘が何年後に三年生になるって言っていたかは忘れましたが、
最終的に榊原と鳴も協力して、呪いの元を解決して欲しい。

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2012年8月12日 (日)

わくらば日記/朱川 湊人

わくらば日記/朱川 湊人

連作短編五本収録

大人になった主人公の和歌子が、姉との思い出を語るという形で綴られている。
姉の上条鈴音は、人や場所の記憶をビデオのように見る事ができる不思議な能力がある。
妹の和歌子が口をすべらせた事から、能力を知った刑事に協力を頼まれる。

ちょっと辛い(切ない)系統の話が多くて
角川の紹介に書いてある「ほっこり小説」はちょっと違うんじゃないかな……。
浅田次郎の小説によくある人情鬱な感じに近い。
去年の夏の冊子で浅田次郎の『霧笛荘夜話』も「楽しむ」カテゴリーに入っていたが、
どんな心を持っていたらあれを楽しく読めるのだろうか

こちらも「楽しむ」カテゴリーの『わくらば日記』
著者の朱川湊人お得意のノスタルジーな昭和の風景の中に
姉の能力で殺人事件の捜査に協力する、といった非現実的な要素も入った微ホラーファンタジー。
昭和の出来事や流行歌を絡めて舞台を作るのが上手いです。

雰囲気は良いんだけど、微妙に後味悪い話も多かった。
とはいえ、連作短編なので、登場キャラが同じな分親しみがわきやすいかな?
早い段階で姉が若くして亡くなっている事が知らされるのでやっぱり暗くなる。
心のやさしい姉が陰惨な殺人現場を見て苦しんだり、とかも辛い所。

“姉さま”こと上条鈴音は、優しくて、見た目も外人さんのように綺麗で、
不思議な能力があってもちろん勉強もできて、欠点は病弱なところ。
……なんともすごい設定。
体が弱いこともあり、能力を使うことにあまり積極的でなく
妹の方が事件捜査などに関わるきっかけを作るのだが、
「能力の事は人に言わないように」と姉から言われたにもかかわらず
人助けをダシに男の気を引くためにさらっと秘密を漏らして、
結果人助けの方も大きなお世話に終わるという……ある意味救いがない。

しかし姉の方もその後の話で、好きになった男の前で能力を使ってたので
まあ、そういう姉妹なんでしょうか。
四話目の話は切ない初恋モノで、良いんですけど、
三話で“姉妹同然”とまで称した友人が犯罪に関わっていた過去があるかも……
という時には出し惜しみした能力、すぐ次の話では男の前で簡単に使うんだ、的な、ね。
それは置いといて、四話目が一番好みの話ですけどね。
大層な殺人事件や社会問題より、こういう地味な話の方が似合ってる気がする。

これがシリーズ一作目で、続編も既に出ているようですが、
メインの話は短編ごとに完結しているのでそれほど問題はないものの
最後に、あるキャラの不幸を匂わせる発言をして「それはまた今度」(続編読んでね)
みたいなのがモヤっとして嫌だなー。
どちらかと言えばハッピーエンドが好きで、
架空の話でも可哀想なのはあんまり……なので続編は読まなくても良いかな。

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2012年8月 5日 (日)

【本】九十九怪談 第三夜/木原 浩勝

九十九怪談 第三夜/木原 浩勝


短い話が沢山読めて面白いんですが、百物語としてみるとかなり微妙です。

まず「怖い」話がほとんど無く、あんまり印象に残る話も無かった。
不思議ネタは好きなので、決して詰まらなくはないけど、インパクトが薄いというか。
一晩で読破する一人百物語をやろうと思って買ったので
ゾッとするようなタイプの怖い話をもっと読みたかった。

新耳袋みたいにカテゴリー分けはされていないんですが
何処となく似た話が続いているのは何でだろう?
最初の数話を読んで、やけに電車関連の話が続くから
カテゴリー分けされているのかと思った。

最終話「弟みたいなの」は最後に余韻を残そうとしたのだろうか?
怪現象に説明がつかないのは構わないけど、
友達の家での体験で、その後も友達とは学校とかで会うだろうに何の説明もなく終わっちゃう。
「友達」は生きて存在しているんだから、
「その後疎遠になった」程度でもその部分の説明がないと
実話怪談の体が崩れちゃうような……。

同じ人の話が多いのはまあ良いとしても、話の区切り方がセコい。
百物語をするとして、何人かで集まって一人の話が終わった後ロウソクを消して
次の話が「その事(前の話)があった後」ってはじまると思うと違和感があるし
それって全部で一話じゃないの?というような話が分けられているため
なんだか水増しのようなセコさを感じてしまう。
サーバールームの話とか、結構好きだけど一話にまとめてほしかった。
話が終わった後の無駄な余白も多かったからなおさら。

不思議系統の話は良いものも多く、夏に出すシリーズと言うより
秋の夜長にでも読みたい一冊でした。

個人的に面白いと思った話は、
おばあちゃんの家に行ったら、居間におばあちゃんが座っているのに
家の奥からもおばあちゃんが出てきて、びっくりしていたら出迎えに来た方のおばあちゃんが
「また私が出たの。私には見えないんだけどね」って言う話。

おばあちゃんの飄々とした対応で、
残像とは……デキるばあちゃんだな!とか思ってほのぼのしそうになったけど
よくよく考えると「自分がもう一人座ってる」って家族とかに言われたら結構怖い。
いつも座ってる場所だったら、自分には見えないから普段は気付かずに重なってるの?
ある日突然見えたら……入れ替わられちゃったりして。

パソコンの前とかにも見えない自分が座ってたら……うわー!

 
ちなみに、一夜ですべて読んでも何も無かったので安心して読めますよ。
(何か起きても責任は負いかねます)

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2012年7月26日 (木)

【本】新耳袋‐現代百物語第六夜

新耳袋‐現代百物語第六夜


一日で、しかも音読で読みきってやりましたよ!
夜中に声を出すと近所迷惑になるので
夕方のちっとも暗くない時間帯からボソボソと読んでたんですが
も~、つらいつらい。
普段家で声を出す事なんて無いから、喉が痛くてしょうがない。
あと、関西弁の台詞が多くて「~しとんねん」とか、
喋った事もないエセ関西弁で音読するのが微妙に恥ずかしかった!(誰も聞いてないけど)

今までにも何回か一人百物語をやっていますが、特に何か起きたことはありません。
一度位はネタになるような怪奇現象を体験してみたいものです。

読み進むにつれて日が暮れるし、雰囲気はばっちりだし、
なにより今回は音読しているので、自分の声がモソモソして気持ち悪いというおまけ付き。

順調に読み進めていると、ある一話で
一人暮らしの老人が自宅玄関の前に座り込んで通りを見ている。
毎日玄関前に座ってるようになり、近所の人たちも気味が悪くなってきた。
ある日抗議に行くと、その日は玄関に居らず、戸を叩いても応答がない
裏にまわってみると何やら悪臭がする。
実はその老人、近所の人たちが玄関前に座っているのを見始めた時期には
既に家の中で亡くなっていたのだ。

という話の、この老人が住んでいる家が、立地の関係とか何かで「三角」の形をしているそうで
冒頭の「この家は三角形をしていた」という部分を読んだら、
背後の棚の上に飾ってあるフィギュアの所からカチャーって音が!
(小物が崩れただけ。たぶん扇風機の風のせい)
……心臓が止まるかと思った。

三角屋敷って、別の話だけど加門七海の本とかにも載ってたよなー。
あれは呪術みたいな、人間の怖い話チックな話だったけど……とか、ボケーと考えた後
無音のなかモソモソ読むのに耐え切れなくなったのでテレビをつけて賑やかにしてしまいました。

ただ単に扇風機の風で小物が崩れただけでマジビビりとは……。
もし本当に怪奇現象が起きたりしたら、裸足で家から逃げ出すんじゃないか?自分よ。
他に、飲み物の氷がとけてパキっという音でも死にそうなくらい驚いた。

第六夜の最終章の十数話は、すべて京都の幽霊マンションに関する話で、
その幽霊マンションに居る女性の霊の名前をうかつに口に出すとヤバい……的な話もありましたが
音読しても特になにもなし。

幽霊マンションの話、最終章全部使うほど要るか?
最初の話と、実際に住んでた人の話と、後日人に話したら色々あった程度で良いような。
泊まりに来た友人が~とか、同じような話がありすぎて、ほとんど内輪盛り上がりって感じです。
それまでが淡々としていただけに、余計「こんなすごい体験しちゃいました」ノリに冷める。
「男性にしか霊が見えない」と言ったと思ったら、別の話では泊まった女も霊を目撃するとか
「ホテルに霊が出る」と言って嫌がってる男に
「じゃあ家に泊まれば」と幽霊マンションに招待する女とか何なんだ?
お前の方が怖いよ!

この最終章が始まる前に著者の体験が書いてあって
仕事をしていると、窓も隙間も無い背後から風が吹いてくる
机の向きをかえても必ず背後から風が……
その事を人に相談すると
「最終章の原稿で“唯一紹介される女性の名前”を伏字にした方が良いのでは?」
と提案されたので、すべてアルファベットに置き換えた所怪異はぱったりと止んだ。

というものなのですが、これってどの女の人の名前を指していたんでしょう?
先に書いた幽霊マンションの“名前を出して話したら気絶した”とかいう話の女の霊は
自己紹介するシーンがあるし、普通に全部名前が書いてある。
何なの!みさおさん!

そんなわけで、6~7時間かけて無事読了しました。
今回も何事もありませんでした……

なので、今日「九十九怪談」の新刊(三巻)を買ってきました。
(角川のストラップもらったよ♪)
また今度一人百物語やろーっと。

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2012年6月29日 (金)

【本】わたしの学校の七不思議/マイバースデイ編集部・編

昔の怖い本シリーズ

『わたしの学校の七不思議』マイバースデイ編集部・編
1
わたしの学校の七不思議―恐怖体験集 (M.B books) 
 

本にも「女の子の愛と占いシリーズ」とあるようにマイバースデイは
女の子向けのおまじないなどを集めた占い本のイメージが強いし、
表紙も結構かわいい感じ。

しかしまあ、一度この本を開いて見ますと……
 
巻頭カラー「にわとり女」
2
絵自体は少女漫画っぽいのに、血が……
にわとり女がお化けなのかどうかも謎。
しかしこれはまだ序の口だという事がすぐにわかります。

扉絵【微グロ注意】

3
うわっ!

お化けというか、これは腐乱死体ですか。

この扉絵をはじめ、
階段から落ちて死んだ、頭の割れた女の子の霊(脳味噌見えてる)
シュウシュウ音をたてて体が溶ける男の霊
首がもげてる子供の霊

等々、
グロいイラストがバンバン出てきます。
とにかく、イラストがえげつない!
怖いを通り越して、ただもう気持ち悪い方向に全力を注いでる。
どの面下げて「女の子の愛と占いシリーズ」なのか。

こんなにえげつないイラストですが、当時から
うわ~(笑)ぐらいのテンションで見てたような。
なんとなく、グッと来る怖さではないんですよね。

話の合間に色々な学校の七不思議が紹介されているページがあり、
そこの挿絵は、ちょっと悪ふざけの匂いすらする。

4
右上の絵は「鏡で手首を切った女の子の霊」なんですが、
手首を切っている所なのに、なんで既に妖怪みたいなの!

最後の方には昔懐かしい「この話を読んだ人は……」系の話があったりして、
何日以内に霊が訪れるとか、右から振り返ったら首を落とされるとか、
こういうのって今もあるんですかね?
小さい時はちょっとドキッとしますよね、これ系。
バナナの絵を置くとか、実践した事はないんですけどね。
あ、でも20才まで憶えていたら死ぬと言われてた「むらさき鏡」は、
憶えてたけど生きてます。

こういう怖い本いっぱい見たいなぁ。
漫画も載ってるようなケイブンシャの小さい本のシリーズとか、
見た事がないやつも沢山あると思うと……!

明日は古本屋に行ってみようかな。

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