【小説レビュー】ミステリー

2011年10月 3日 (月)

本【悪魔の手毬唄/横溝正史】

悪魔の手毬唄/横溝正史

金田一耕助シリーズ

静養のため、岡山を訪れた金田一耕助。
磯川警部の紹介で鬼首村(オニコウベ、通称オニコベ村)へ。
鬼首村では、二十年前に起きた殺人事件が未解決となっていた。
事件に対して、ある疑惑を持っている磯川警部は
金田一に二十年前に村中を巻き込んだ詐欺事件と、詐欺師による殺人事件について聞かせる。
ちょうどその頃、件の詐欺師の娘が有名歌手になっていて、近々村に帰って来るという。
村の青年団が歓迎で沸き立つなか、一人の老人が毒草と血痕を残して行方不明になり、
続けて、口に漏斗を差し込まれた状態の女性の絞殺死体が発見される。

事件自体はちょっと、ツッコミ所が……
ですが、
ついつい夢中になって読んでしまいました。
村全体に根付いた悲しいドラマと
下世話な話がね……ヒヒヒ。

あと、じわ~っと不気味な雰囲気が流石にうまい!
事件前の、金田一が老婆とすれ違う所とか、死体を発見する時とか。

序盤は怖い話ばりに老婆の不気味さが際立っています。
何か起こるぞ~という盛り上がりが素晴らしい。
映画・ドラマ版は見てないけど、老婆とすれ違うシーンは映像でも見たい。

お家騒動も絡んでいるので、人間関係が複雑で、
親戚兄弟因縁……などなど、
……人物紹介の頁が欲しい!
名前だけだと、何家の人かわからなくなってくるし、
屋号がまたややこしい。
ウィキペディアでも見ながら読めれば良いが。
あと、村の地図も欲しい。

そして、新しく起こる事件は
手毬唄の歌詞に見立てた殺人事件なんですが、
肝心の手毬唄が廃れていて、読者からすれば見立て殺人でも、
村人から見たら、わけわからん細工をされた謎の死体……
というのもちょっと変わっていて面白いですね。
普通見立て殺人だと、何回も唄が出てきて、
村人が不気味さに怯えたりするもんですが、
村人が手毬唄を知ってたら死ぬ人が分かってしまうから仕方ないのか。

これ言ったら無粋だと思われるだろうけど、
犯人に見張りを付けとけよ!
立花警部補は怒ってもいいと思う。
ありがとうございます先生!(土下座)って……!!

このシリーズをまちまちにしか読んでいなくて、今回
獄門島の事件を思い出すという台詞が何回かでてきたので、
獄門島読んでないのをちと後悔。
特にネタバレがあるわけではないので、別に後から読んでも支障はないだろうが……。

最近いなり寿司って食べてないなー。
ああ、いなり寿司が食いたくなった。

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2011年7月13日 (水)

本【氷菓/米澤 穂信 】

氷菓/米澤 穂信

姉の命令で「古典部」に入部した事から、省エネ人間の折木奉太郎が
好奇心旺盛な女の子「千反田える」に付き合わされ、
どうでもいい謎を持ち前の“閃き”で解決する。

ラノベか!って思ったら、元は角川スニーカーらしい。

“省エネ”なので、基本的に面倒な事はしたくない奉太郎と、古典部員(名家のお嬢様千反田える、奉太郎の友人福部里志、里志に惚れている井原摩耶花)が
千反田が気になったことを主人公たちが解き明かすのが主な流れで、千反田の伯父の謎がメインの話。
まー、どれもこれもどうでもいい話で、スローンと何とかカントカってDSソフトを思い出した。

ハラハラとか、続きが気になるとかは一切無いけど、だからこそ安心して読めるかも。
普通の学校が舞台になっているのでわかりやすいのも良いのかもしれませんね。
大した事がないのがむしろリアルな学校生活って感じか。

ちょっとひねくれた男の子と清楚な見た目の女の子が謎解き、というと、
どうしても乙一のGOTHを連想してしまいますが、GOTHから毒を抜いた感じ?
毒が抜けてるというか、本作はキャラが弱い気がする。
弱いというか薄いというか、千反田とかはもっとぶっ飛んでても良いし、
主人公以外の内面がほとんど見えてこないのも原因かと。
雰囲気はなんとなく面白い感じだし、映像化もしやすそうだけど、アニメ・実写化するにはパンチが足りない気がします。
関係ないけど、模擬店なしの文化祭で5日間って何するの?

しかし、気だるいような、少しひねくれた言い回しとか、時折小難しい単語を入れたりするのがラノベの掟なのか?
語彙の披露は別に良いとしても、キャラの名前が読みにくいのは嫌だ。
折木は「おれき」ひらがなで呼ばれるまで「おりき」って読んでたし、
井原は「いら」 いはらでいいじゃん!
「千反田」なんて一発で変換できなくて「チタンだ」ってチタンを発見した人みたいになるし、
遠垣内(とおがいと)なんて読めねーよ!
何かこだわりがある名前なのかも知れないけど、どうも好かん。
読めない名前とか、間違えやすい苗字は読む流れが止まるから嫌だ。
「福部」ですら「ふくべ」で合っているのか不安になって冒頭部分を読み返しちゃったりするから嫌だ。

あと、「不毛です」
「一年に二回植えるやつか?」
「それは二毛作です」
みたいな面白くもない掛け合いはサムいのでやめてほしい。
一番嫌なのが最後のあとがきで、著者本人が「友人と寿司を食べに行って、帰ろうと車に乗り込んだら
運転手の友人が車を発進させない。食事時なので駐車場には他のお客さんの車が次々に来て迷惑になっている。
早くしろと促しても一向に車を出さない友人はどうしたのでしょうか」みたいな事が書いてあって、

「この答えはまた次回。次回があればいいのですが」

おい。

 
……おい。

シリーズモノならカバーに書いとけよ!知らずに買っちまった!
本編は普通に終わってるのにあとがきの下らない近況風問題を尻切れで掲載するなんて……!

続きは値段も500円越えてるし、積極的に読もうとは思わないかな……。
車を出さない友人は……どうでもいいな。

追記/車を出さないのは、座敷に座って足がしびれたというのが理由らしい。
知恵袋的なもので見かけたので本当かどうかは分からない。

角川文庫のハッケン君ストラップをもらったら、アイスにハッケン君がくっついたやつだった
「氷菓」を買ってアイスのストラップ……ふふ、ちょっと洒落たな。
ちなみに、今年のストラップは緑の袋で中身が見えないので探りにくそう。
店によると思いますが、今回は店員が選んだ物を手渡された。

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2010年12月11日 (土)

本【六枚のとんかつ/蘇部健一】

六枚のとんかつ/蘇部健一

保険調査員の小野由一(バカ)が、
自社の保険の掛けられた様々なものに関係した事件を解決するため
友人の古藤(アホ)と推理を展開する連作短編集。
ウワサのおバカミステリー!

バカとアホが勘違い推理をして明後日の方向に突っ走る!
最初は
( ゚д゚)
徐々に
( ´,_ゝ`)
爆笑とまではいかないけど、ちょっとクスッとする感じの面白さ。

事件は誘拐・物探し・殺人事件・時刻表トリックなど様々。
読者を騙す事に重点を置いて、肝心の事件が解決しないものまである。
しかし、一応読んで推理ができるものもあるので、思ったよりは真面目なバカさ加減。

同じトリックなのでお好きな方を読んでくださいという「五枚のとんかつ」と「六枚のとんかつ」では
「五枚のとんかつ」の方が好きだな。
動物の着ぐるみに“ぞうさん”とか“ライオンさん”とか言ってる時点でちょっと面白い。
そもそも、事件のトリックどころか、早乙女と主人公の会話・行動も同じだけど、五枚~の方の「殺しのとんかつ」ってのは結構うまい表現……でもない?
おじさんが密室で持病の発作を起こし死亡し、謎の物音を残して女が消える「消えた黒いドレスの女」なども、推理(ってほどでもないけど)できる。

下品との評判だったが、日頃下品な物を見ている私としては別に気にならなかった。
エロ単語がちょいちょい出てくるとか、
主人公がやたらとソープランドに行きたがったり、
オナニーに絶対の自信を持っていたりする程度ですよ!

その、下品さ故にカットされていたという「オナニー連盟」
主人公の馬鹿さ加減は面白かったものの、事件が適当すぎる!
もうちょっと巧い話だったら良かったのに。
「オナニー連盟」の言葉ありきで作られた話でしかないんだろうな。

筒井康隆の『心狸学・社怪学』にもオナニー話が……。
http://morino-book.cocolog-nifty.com/blog/2010/05/post-cce9.html
主人公は「オナニスト」ですね!

ひたすら自信を持ったバカの総本山である主人公、
鋭い推理を展開するように見せかけてアホの古藤、
主人公の同僚でデブの早乙女、

会話なんかは面白くて好きですよ。
ただ、どうせしょうもないトリックなんだろうと思って読んでるから、
急にまともな謎解きの説明始められても読む気がしない。

たまに読むには良いけど、こんなのばっかりは嫌だな。
アホバカミステリーのために作られ、殺されるだけの登場人物が哀れ。
「見えない証拠」の殺された女の子とか、可哀想すぎる……。

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2010年11月10日 (水)

本【本所深川ふしぎ草紙/宮部みゆき】

本所深川ふしぎ草紙/宮部みゆき

片葉の葦
送り提灯
置いてけ堀
落葉なしの椎
馬鹿囃子
足洗い屋敷
消えずの行灯

七編収録、江戸の本所七不思議を軸にした短編集。

【本所七不思議とは】
本所七不思議(ほんじょななふしぎ)は、本所(東京都墨田区)に江戸時代ころから伝承される奇談・怪談。
江戸時代の典型的な都市伝説の一つであり、古くから落語など噺のネタとして庶民の好奇心をくすぐり親しまれてきた。(ウィキペディアより)

ホラーではなく、むしろ人間ドラマというか人情ものというか、単純にいえば茂七捕物帖です。

七つの短編にそれぞれ違う登場人物と本所七不思議が登場。
岡っ引きの親分である茂七は全編通して出てきて適度に活躍する。

七不思議の登場の仕方がそのものを説明するだけではなく、
きちんと人物に関わりをもった物語になっているのが良いですね。

寂しさを感じる話が多いが、同時に暖かさも細やかに書かれていて読後感も良い。
一つ一つが短いのでさらっと読めるのに、しっかりと余韻も残る。
電車の移動中に読むのにもオススメ。これぞ短編集の醍醐味ですね。

読み終わってカバーを外したら
表紙の送り提灯が近すぎてちょっと笑った

奉公先のお嬢さんに頼まれた恋愛成就の願掛けに毎夜石を拾いに行く女の子。
その帰り道、遠くにポツリと灯を見る。それが表紙にもなっている「送り提灯」です。

真後ろに提灯!

こりゃあ怖い。
できれば、もうちょっと遠くで送ってくれませんか!

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2010年9月10日 (金)

本【探偵ガリレオ/東野圭吾】

探偵ガリレオ/東野圭吾

ドラマ版が面白いとの噂を聞いていたので、読もう読もうと思っていたんですが、
ドラマ化してすぐ読むのはなんとなく嫌なので後回しにしていたら
映画でほとぼりを温めなおされたせいで今頃読むことになりました。

ドラマはほとんど見てないので別に比較などはできませんが、
主人公の刑事が男で、湯川と旧知の仲ってのが違う所でしょうか。
ほんと、チラッとしか見てないので主題歌が合わないんじゃないか?ぐらいの印象しかない。

「探偵ガリレオ」は5本収録の連作短編

燃える(もえる)
転写る(うつる)
壊死る(くさる)
爆ぜる(はぜる)
離脱る(ぬける)

あらすじは、捜査一課の草薙が、不可解な難事件が起こる度に
大学時代の友人で“帝都大学理工学部物理学科助教授”の湯川に相談に行き、
科学の力で解決する
、というもの。

突然頭が燃えたとか、死んだ人間のアルミ制デスマスクが池に落ちてたとか、
胸部の細胞が壊死した死体とか、海で謎の爆発とか、
幽体離脱で重要な目撃をした少年とかをガツンと科学的な説明を交えて解決するわけです。

一般より少し頭の悪い森野ですが、それなりに面白く読めました。
もちろん、トリックは全然推理できませんでしたが、
草薙刑事だってそんなに理解してないので大丈夫だろう。

現実にはお目にかかる事のないような事件なので、
事件が解決しても「なるほど」というより「へーそうなんだー」という感じ。
もっと、都市伝説っぽい不思議な事件を解決してほしかった。
デスマスクの「転写る」が一番謎っぽくて面白かったかな。
他は明らかに人為的なものだし、幽体離脱は不思議だけど、事件自体がショボいからあんまり……。
湯川におんぶにだっこの捜査一課、のんきに「ガリレオ先生に聞いて来い!」なんて言って笑ってるる場合じゃないだろ!
「離脱る」なんて、無能に疑われた方は大迷惑だし、訴訟もんですよ。
さすがにもうちょっとまともに仕事をしてほしい。

湯川が思ってたより普通の人っぽいのは好印象。
白衣を着ていて、科学の実験をしてる所から、なぜかでんじろう先生を無表情にしたような人物を思い浮かべていた。
容姿に関してはあまり語られてないんですが、切り揃えた前髪ってのが全然かっこよくなさそうです。
それもそのはず、ドラマではフクヤ・ママ・サハル(検索除けのため区切ってみました)演じる湯川学ですが、
元々は佐野史郎をイメージして書かれたキャラクターだという事。

胸がスッとした!

なつかしの特命リサーチ200Xは良い番組だったなぁ。

【面白シーン】

車に乗った草薙「ちょっと寄り道しても構わないか」
湯川「マクドナルドのドライブスルーにでも行くのかい」

なぜマクドナルド!
しれっと言ってるところが何か妙に面白い。

もう一つ、ドラマ版にあるなら是非見たいシーンが、
「離脱る」で工場を訪ねた時。

「門を出ると湯川の姿が消えていた。塀に沿って歩いてみると、物理学者はゴミ箱を漁っていた」

ゴミ箱を漁って見つけたものが、重要なカギになる訳です……が、
急に「物理学者はゴミ箱を漁っていた」ってw
この一コマはギャグっぽくて良い。

面白かったけど積極的に続編を読む感じではないかなー。
短くて読みやすいので、少し時間の空いた時にでも。

ねえ知ってる?
ガリレオガリレイとでんじろう先生は誕生日が同じなんだよ!
 
豆知識らんらんらん♪

そして、理系でもなんでもないのに森野も同じ誕生日なんだ! 

無駄知識らんらんらん♪

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2010年9月 2日 (木)

本【フリークス/綾辻行人】

フリークス/綾辻行人

「夢魔の手」

「四〇九号室の患者」

「フリークス」

精神科病棟を舞台にした連作中編集。

タイトルと表紙の印象から、おどろおどろしい話を想像していましたが、
そんな事もなく、薄味の推理ものといった感じ。

「夢魔の手」
精神病棟に居る母親を見舞う息子。
母親が隠していた一冊のノートを読むと、それは自分が子供の頃に書いたもののようだった。
まったく記憶にない、自分の名前で書かれた日記の内容は……。

二転三転にすっかり騙されました。
三作の中で一番好きなタイプの話だった。
太字は別にいらんけど、日記の内容も面白かった。
単にひらがなの多い感じが好きなのかもしれない。

「409号室の患者」

自動車事故によって夫と両足と記憶をなくした私。
名前には確かに見覚えがあるものの、記憶は蘇らない。ある日見舞いに訪れた夫
の同僚から聞き出した夫の“愛人”の存在、そしてその名前にも聞き覚えがあった。
日記を付けながら自分は一体誰なのか、を考え続ける。

驚きの結末があるんだろうな、と思いながら読めば大体わかってしまう。
ちょっとネタバレになるけど、アナグラムとかどうでもいいなぁ。
もやもや悩んでる日記が長いからだれる。

「フリークス」
自分を“締め切りに追われる作家”と思い込んだ患者の書いた小説。
4人のフリークス(奇形)が出てくる殺人事件を書いたものだが「JMを殺したのは誰か」と、問いかけるように終わっていて解決編が書かれていない。
この原稿を読んだミステリー作家が、探偵をしている友人に相談する。

文庫版の著者あとがきより“江戸川乱歩の「孤島の鬼」と、トッドブラウニング
監督の映画「フリークス」への舌足らずなオマージュ”だそうです。

仕掛けは面白いんだけど、ラストを飾る表題作にしてはちょっと弱いかな~。
猟奇さ怪奇さユニークさが足りないような……なんか少し物足りない感じ。

三作とも展開が似ているので、すぐにオチが読めてしまう。
そのせいか、特に何も考えないで読んだ最初の「夢魔の手」が一番面白かった。
精神病や奇形といったテーマのわりにはそんなに重くないし、余白が多く文字量が少ないのでさらりと読めました。
どんでん返しを疑わずに読んだ方が楽しめたかも。

トッドブラウニング監督の「フリークス」のDVD見たい。

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2010年8月23日 (月)

本【東亰異聞/小野不由美】

東亰異聞/小野不由美

帝都・東亰の夜は、子供を攫う人魂売り・居合い抜き・
鋭い爪で人を切り裂く赤姫姿の闇御前・高台で人を襲う火炎魔人、
命の次に大事なものをお代に頂くという、店主が般若の仮面を被った般若蕎麦の屋台……

こんな怪しい住人であふれています。
行方不明になる子供や、襲われて命を落とす人も後を絶たない。

妖怪の仕業のように囁かれている事件だったが、
新聞社に勤める平河新太郎と便利屋の友人・万蔵が事件を調べるうちに
華族・鷹司(たかつかさ)家の人間が二人、続けて襲われ、
鷹司家の家督をめぐる複雑なお家騒動が見えてくる。

「東京」じゃなくて、京の字に横棒をもう一本引っ張った「東亰」という、
ほぼ東京だけどそうじゃない所を舞台に、
ほぼ魍魎だけどそうじゃないようなそうなような者たちが起こす事件。

最初はどっぷり怪奇モノ……と見せかけて犯人探しのミステリーへ。
なぁんだ、ただのミステリー物だったのか~と思わせて…………!

幻想怪奇な雰囲気はすごく良いです。
黒衣の男と娘人形の会話は言葉使いが難しくてあまり理解できなかったが。

常と直の兄弟が切ないけど良い。
平河さんもある意味切ない。この人何かしたっけ……。

気に入ったのはチロー館。
「チロー館」とは、お話に出てくる鏡仕掛けの迷路の出し物ですが、思わず声に出したくなるな、チロー館。どういう意味なんだろうチロー館。

そして、パラレルな東亰に対して京都はそのまま「京都」として出てきた。だからなんだというのだろう。

ちょろ出キャラの輔はもうちょっと活躍しても良かったような。なんかもったいないキャラだ。

小野不由美さんは、魅力的なキャラを書くのが上手い。
挿絵はなくとも、きちんと漫画的な魅力のあるキャラクターが出てくるんで分かりやすいです。
しかし、気の強いばばあと小娘だった今回メインの女性キャラは……次に期待。

ちなみに、あらすじのコピーに“官能美漂わせる伝奇ミステリー”とありますが、
別にエロくはないです。妖艶な感じはあるけど、エロは期待しないように。
誰もそんな期待はしてなかったりして……うわ、恥ずかしい!

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2010年7月25日 (日)

本【街の灯/北村 薫】

街の灯/北村 薫

上流階級花村家にやってきた女性運転手の別宮(べっく)みつ子。
花村家の令嬢・英子は彼女を小説の登場人物にちなんで「ベッキーさん」と呼ぶ事にした。

ベッキーさんと英子の二人で話をするうちに事件の真相に近づいて行く連作短編集。

北村薫氏の小説に共通する事ですが、とても穏やかに話が展開していきます。
ベッキーさんと英子のコンビで事件や謎を解いていくのがメインの流れ、
事件自体のトリック等はありがちといえばそれまでですが、
巻末の参考文献を見てもわかるように舞台になっている昭和7年がとても丁寧に書かれています。
それも「昭和の普通の暮らし」ではなく、出てくるのは上流階級のお嬢様方。
文字だけでも華やかさが伝わってきます。

車で学校へ送り迎えはあたりまえ、別荘を所有、お友達は馬を乗り回す

なんか、オサレアニメとかに出来そうだなぁ。
ちょっと見てみたい。
ノイタミナ枠にでもどうでしょう。
可愛らしく華やかなお嬢様と、カッコ良く綺麗なベッキーさん。
アニメになったら、ぐうたら兄はすごいイケメン化するんだろうなぁ。
CLAMPがキャラデザした「魍魎のはこ」みたいな感じで……

いっその事実写化して、三丁目の夕日みたいにフルCGで当時の銀座の町並みを再現しても面白いかも。

メインのお話は、丁寧すぎてなかなか本題に入らないような気もしないでもないかなぁ……。
いや、事件解決は本題ではないのかもしれない。
実際、事件だとかより、ベッキーさんのキャラクターを楽しむのが正しいのか。
読み終わってもベッキーさんはミステリアスなまま。
それもそのはず、ベッキーさんシリーズはまだまだ続いています。
直木賞を受賞した「鷺と雪」もその一つ。
他の物もそのうち読んでみたいと思います。

最初の「虚栄の市」に江戸川乱歩の小説がちょこっと出てきたりして、ファンにはちょっと嬉しい。
自ら穴を掘って、その中で死んでいた男性が発見される。
その男が江戸川乱歩の小説を愛読していた事から新聞で猟奇的に煽られるが、
同じ晩、同じ下宿に住む男が別の場所で溺死していた。

「乱歩なんかを読んでるんだから、猟奇の徒。何をするか分からないって調子よ」
ファンには嬉し……くなかった。

江戸川乱歩の、あの作品が登場!

最初、ははぁ「断崖」か(キリッ 
と思ったけど全然違った。ははは。

傑作選の中にも収録されているアレです。
序盤・中盤はすごく好きだが、名探偵の明智さんが出てくると
主役が入れ替わってしまってどうも面白くない。そんな感じのアレ!

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2010年6月25日 (金)

本【告白/湊かなえ】

告白/湊かなえ

中学校一年生最後の終業式の日、
生徒の集まった教室の中で担任の森口悠子が話し始めたのは、
教師を辞める事、そして、校内のプールで「事故死」した娘・愛美の死の真相だった。

娘を失った教師・その教師のクラス・犯人AとB・犯人の母。
それぞれの章によって異なった人間の「告白」が繰り広げられる。

かなり流行っているようなので読んでみました。

売れているだけあって、アマゾンなど、かなりの数のレビューが見られます。
病気への解釈などの批判が多いように感じます。
HIVがとんでもない利用のされ方をしたり、
微妙に間違った解釈をしている所が確かにありますが、
中学生の病気への解釈なんてそんなもんだろうと思って大して気にはなりませんでした。
自分か、ごく近しい人が病気になったりしないと、真剣に考えるチャンスもないでしょうしねぇ。

実在の人物や現実の事件をもじっている所は、なんだか安っぽいかも?
「世直しやんちゃ先生」って……シリアスな所で言わないで(笑)

良い点はぐいぐいと読ませるストーリーですかね。
最初の章から三章くらいは、ほぼ一気読み。
冷淡に進められるのでどんどん読み進めてしまいました。

全章が同じ事件に関わる人の違った視点からの独白なので、
衝撃的なのは第一章。二~三章もなかなかですが、ちょっとずつ勢いは下がります。

同じ人物の事を言っていても、語る人によって印象が全然違っていたり、
読んでいる側としても受け取り方が違ってくるのが面白いです。
どんな背景があろうと悪いものは悪いですけどね……。

最後に近づくにつれて事件の筋はほとんど解ってくるので、
犯人の二人の章は特に衝撃もなく蛇足的な印象。

正直、担任のなれそめの方が気になるわぁ。
結局森口先生はその後どうなるんだろう。

ちょっと読みのがしてしまったかもしれないんですが、
クラスの人に謎のアドレスからメールを送ってた人って誰?先生?

あぁ、ちゅーされた男か……?

あと、個人的に牛乳はビンが好き(関係ない)

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2010年6月17日 (木)

本【風が吹いたら桶屋がもうかる/井上夢人】

風が吹いたら桶屋がもうかる/井上夢人

七編収録の短編集。

もくじ

風が吹いたらほこりが舞って

目の見えぬ人ばかりがふえたなら

あんま志願が数千人

品切れ三味線増産体制

哀れな猫の大量虐殺

増えたネズミは風呂桶かじり

とどのつまりは桶屋がもうかる

さて「風が吹いたら桶屋がもうかる」の仕組みはわかりましたね?
各章のタイトルとなっているこの文言ですが、
本文とは一切関係ありませんのであしからず。

牛丼屋で働く主人公、三宅駿平の所に次々と現われる依頼人。
同居人の超能力者、松下陽之助を頼ってやって来るのだが、
ヨーノスケの能力は、駿平曰く「超能力」ではなく「低能力」というほど役に立ったためしがない。

ものすごく時間のかかる超能力を発揮する間に、
もう一人の同居人・理論派両角一角(モロズミイッカク実はカズミという説も)が推理を展開するが……。

ゆるいキャラクターと、何か起こるようで何も起こらないストーリーが面白い。
手を使わずに割り箸を割ったりと、正真正銘の超能力を持つヨーノスケ
(ただし時間が掛かり過ぎるため、手を使った方が良い)

いつも文庫本を読み、文句を垂れつつ、依頼人の話に首を突っ込んでは余計な推理を展開するイッカク。
このタイトルは、イッカクのトンデモ推理から来ているのかもしれない。

モテない男三人衆はとても面白いのだけど、
依頼人の女の人があまり魅力的ではない。
全員美人ということですが、
やたらに「けど」を連発する喋り方やら、似たような立ち振る舞い。
どの人も同じように感じてしまう。
超能力否定派の女はウザすぎだった。

天丼ギャグというか、わざと同じ言い回しや展開を多用しているので、
そこがまた面白いんだけど、ぶっ続けで読むと少々飽きてしまうかもしれない。

シリーズ化しそうな感じだけどしてないみたいですね。
すごく低予算でドラマ化とかもいけそうな気がするが、どうだろう。

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